今月の薬膳

2013

05

胃にやさしい春キャベツのスープ

効く
清熱散結 、補中益気 、益気健脾

新緑が目にも清々しい皐月となりました。今月取り上げる食材は、今が旬の胃にやさしい春キャベツ。ジャガイモとお米でとろみをつけた春キャベツのスープで、胃腸をいたわりましょう。

 

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春キャベツはとてもポピュラーな食材なので、薬膳っぽくないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。漢方薬を使った料理が薬膳だと思われている方も多いでしょう。しかし、「すべての食材に薬効がある」というのが薬膳の基本的な考え方です。その意味では、キャベツは、かなり高い薬効を持っています。

 

そもそも“薬膳”という言葉ですが、現在のように使われ始めたのは、それほど昔ではありません。1981年に中国で出版された『薬膳食譜集錦』(人民衛生出版社)という書籍の題名として使われたのが最初です。著者の翁維健先生は、北京中医薬大学の中医営養学教研室の主任をされていました。1992年頃、私は北京中医薬大学に留学中で、幸運にも翁先生の講義を聴くことができました。その頃、北京では薬膳レストランがいくつもできていて、そこでは漢方薬を使った料理が出され、特にタツノオトシゴやサソリ、蟻など、珍しい薬材を使った料理が人気でした。こうした「薬膳=漢方薬を使った料理」というイメージが付いてしまったことに対して、翁先生は“薬膳”という言葉を書名にしてしまったことを反省されていました。

ここでもう一度確認しますと“薬膳”とは「薬になる料理」ということで、薬食同源という、薬も食べ物も源は同じで、すべての食材に薬効があるということが基本になっています。もっとも、その持っている薬効に差があるのは当然です。

さ て、キャベツですが、その原産はヨーロッパで、中国では洋白菜とも呼んでいます。唐代に書かれた医学書『千金要方』には、藍菜としてすでに記載されていま す。キャベジンという胃薬がありますね。その薬の成分が同名のキャベジンというもので、S-メチルメチオニンとも呼ばれ、ウィキペディアによれば「戦後ア メリカでガーネット・チェニーらによりキャベツの絞り汁より発見された」そうです。「胃酸の分泌を抑え、胃粘膜の修復を助けて胃潰瘍を防止する作用があ る」とされています。『千金要方』食治篇には「利五臓、調六腑」とあり、胃に限らず、内臓のはたらきをよくすると記載されています。

5月はちょうど、新年度が始まって一カ月。新しい環境によるストレスが胃に影響を及ぼす頃です。胃にやさしいキャベツで、胃をいたわりましょう。

そ こで今回ご紹介するキャベツ料理は、ジャガイモとお米でとろみをつけたやさしい味のスープです。米には健脾和胃・補中益気、ジャガイモにも益気健脾・調中 和胃の作用があり、健胃作用のあるキャベツとともに調理することで、疲れた胃腸の働きをよくして、胃腸をいたわってくれます。写真では、ゆでたキャベツを トッピングしていますが、レシピでは青みを残して煮込んでいます。

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胃にやさしい春キャベツのスープ

材料

春キャベツ・・・300g
玉ねぎ・・・小1個
ジャガイモ・・・中1個
米・・・大さじ2
固形スープ・・・1個
牛乳・・・150ml

作り方

  1. キャベツと玉ねぎ、ジャガイモは大きめのみじん切りにする。
  2. キャベツは一握りを残して、玉ねぎ、ジャガイモ、米とともに圧力鍋に入れ、3カップの水を加えて火にかける。
  3. 鍋が沸騰して圧力がかかった状態になったら8分加熱する。
  4. 蒸気が抜けたら固形スープを加え、弱火で煮とけたら火を止める。
  5. あら熱が取れたら、4をミキサーでペースト状にする。
  6. 5を鍋に戻して火にかける。この時こげつきやすいので、混ぜながら中火でゆっくり加熱する。
  7. 牛乳と残しておいたキャベツを加え、少し煮込む。
ポイント

味は少し薄味ですが、あえてコショウや塩は使わず、野菜の甘みをしっかり味わってください。

食材性味帰経効能
キャベツ 平甘 肝腸胃 清熱散結、健胃通絡、利五臓、調六腑
うるち米 平甘 脾胃 補中益気、健脾和胃
ジャガイモ 平甘 胃大腸 益気健脾、調中和胃
筆者プロフィール
瀬尾港二

history001.jpg1960 年宮崎県生まれ。ICU理学科卒業後、85年~94年北京留学。北京中医学院針灸推拿学部卒業。卒後研修を経て、帰国。東京衛生学園を卒業後、後藤学園に 就職。附属はりきゅう臨床施設院長として臨床にあたりながら、講義も担当。2010年3月退職し、同年4月港区高輪に「アキュサリュート高輪」(http://acu-salut.jp)を開設。

 

 

稲田恵子

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神戸市生まれ。養護教諭を経て93年~96年北京中医薬大学養生康復科にて中医営養学、中医養生学を学ぶ。帰国後、(株)永昌源にて勤務の傍ら中医 薬膳に関する講演活動、執筆に携わる。その後㈱保健教育センターにて、特定保健指導継続支援を担当。現在、首都医校看護保健学科専任教員。保健師、看護 師。

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