第65回全日本鍼灸学会学術大会印象記
北海道大会はどうだった?

  2016年6月10日〜12日の3日間にわたり、北海道札幌市で第65回全日本鍼灸学会学術大会が開催されました。大会テーマは「これからの日本の医療を担う鍼灸〜鍼灸治療と医療連携〜」。初の北海道開催となりましたが、参加者にとってどんな大会だったのでしょうか。本誌では、期間限定で非公開のインターネット掲示板を開設し、大会参加者の方々に印象を書き込んでいただきました。

【ネット掲示板書き込み参加者(五十音順)】
浅井福太郎(九州看護福祉大学看護福祉学部鍼灸スポーツ学科)
飯村佳織(帝京平成大学大学院健康科学研究科健康科学専攻)
井上亘、河合里英(鈴鹿医療科学大学保健衛生学部鍼灸学科3年生)
上野正博(今大会実行副委員長/北海道メディカル・スポーツ専門学校)
上村由美子(ホリスティックサロン心の月)
北川美千代(次回実行委員/新宿杏林堂院長代行)
木津正義(明生鍼灸院副院長)
櫻庭陽(筑波技術大学保健科学部附属東西統合医療センター)
橋本厳(東京医療福祉専門学校鍼灸マッサージ教員養成科/いわなみ鍼灸院)
水野海騰(鈴鹿医療科学大学保健衛生学部鍼灸学科)
(敬称略)

 

正会員864人、一般248人、学生380人(学生会員39人、一般学生29人、学生団体312人)、海外17人(海外会員5人、海外一般1人、韓国会員11人)、合計1509人が参加

【会場の雰囲気、サービス、運営などについて】
上野 今回、北海道地方部会は支部への昇格が成し遂げられ、北海道支部として執り行うことができた記念すべき学術大会になりました。天候に恵まれ、晴天のなかの開催でした。初日から各会場は大勢の参加者で賑わっていました。
櫻庭 やや肌寒い感じはありましたが、北海道の初夏を感じることができるよい天候だったと思います。北海道観光の最高の時期に入り、また札幌ではよさこいソーラン祭りや日本ハムファイターズ対阪神タイガースの試合が開催されており、街の雰囲気から活気や盛り上がりを感じました。この時期に札幌コンベンションセンターの大きな建物を貸し切りにした北海道大会実行委員会の思いを感じました。アクセスについても、地下鉄の駅から近く、なにより、スタッフの方が幟を持って誘導してくれたのでとても助かりました。
上村 高い天井とガラス張りのエントランスの開放感が北海道の大自然を感じさせ、心地よさがありました。ポスター会場や出展業者スペースなども同様で、広々として回りやすく、会場内のパブリックスペースも充実していて、3日間ゆったりとした心地よさを味わいながら学会に参加できました。実行委員、運営に携わられた方々に感謝いたします。
飯村 会場のあちこちに椅子やテーブルがたくさん設置されていたため、発表前に資料を確認したりする際も場所に困らず、天井からの風が吹き抜けるなか、リラックスできたことを覚えています。
橋本 出展ブースやポスター発表会場にもテーブルと椅子が用意され、ロビーでも常に人と人が会話する姿が見られたのが印象的でしたね。たくさんの人が交流を深めたのではないでしょうか。また、大会会場ではSAPPORO City Wi-fiが使えて大変便利でした。  
  上野先生を始めとする北海道の鍼灸養成校の教員の方々、また受付などで若い人たちを見かけました。学生ボランティアも多く入っていたのではないかと思います。
上野 北海道には鍼灸の専門学校が4校ありますが、学校行事として今大会に全校生徒を参加させた学校もありました。スタッフとして運営に携わる学生もいる一方で、学会というものに初めて参加し、慣れないスーツ姿で興味深そうに各会場を訪れている学生の姿もありました。

水野 開会式で後藤修司・全日本鍼灸学会会長の発言にもあったとおり、例年よりも開会式の参加者は多い印象を受けました。また、学生の姿も多く見られ、今後の日本鍼灸を背負っていく彼らの成長が楽しみです。大ホールのステージがもう少し大きく、壇上がもっとたくさんの先生方で埋め尽くされると、インパクトが違ったかもしれません。金曜日の午後1時という時間であることを考えると、これはこれで仕方がないのかもしれませんね。
河合 学生として、学術大会に初めて参加しました。先生方は男性が多かったのですが、学生の数は男女同じくらいか、女性のほうが多かったように見えました。これから女性鍼灸師がもっと増えるだろうと感じました。  
  開会式のあとはいろいろな会場へ行きましたが、抄録に掲載された地図が分かりやすく、とてもスムーズに移動ができました。
浅井 今回、託児所を初めて利用しました。土日の2日間、9時から17時まで私の息子を預けたのですが、お昼に少し様子を見にいった際も楽しく遊んでいました。私の息子を含めて7〜8人の幼児と、専門のスタッフが3人いました。丁寧な対応をしていただき、安心して預けることができました。  
  ところで、今年は会場受付にMoxAfricaのチャリティーの受付もあり、鍼灸団体として世界に視線を向けた活動に力を注いでいる様子もうかがえました。
北川 MoxAfricaについて補足いたします。MoxAfricaはアフリカサハラ南部で広まりつつある肺結核や薬剤耐性結核、HIVとの複合感染との闘病を助けることを目的に、イギリスの鍼灸師たちが2008年に創立したチャリティー団体です。彼らはアフリカの結核患者に対し、投薬治療に加えて、薬がない場合の代替療法として日本の透熱灸を行い、その治療の可能性を研究しています。その結果、薬の副作用が非常に軽くなり、結核も早く回復することが分かり、現在はさらに厳密な研究デザインによる臨床試験が行われているそうです。

【特別講演2  冬季スポーツ傷害とチームにおける医学スタッフの役割 渡邉耕太】
櫻庭 本大会が開催された北海道では、冬季スポーツはとても身近で関心が高いと思います。演者の渡邉先生はスポーツドクターの立場から、冬季スポーツとのかかわりについて、オリンピック時の活動を中心に詳しく丁寧に紹介してくださいました。冬季スポーツにおける鍼灸の話もあり、聴講しながら「スポーツ領域で鍼灸はなくてはならない存在になりつつある」と感じました。やはり、鍼灸の効果を見て、感じて初めて受容され、求められるようになるのだと改めて思いました。  
  トップアスリートはもちろんですが、ホビーアスリートやアスリートを取り巻くスタッフにも鍼灸が広まるように、鍼灸を見て、感じて理解されるよう機会を増やすとともに効果を発信していく必要があると思いました。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2016年8月号」でお読みください。