「座りすぎ」に関連した3つの症状の治療(動画あり)

川又吉宗

【はじめに】

当院は、2014年より東京都千代田区秋葉原に開業しました。近隣の駅に住む高齢の人から通勤通学で秋葉原駅を利用する人、出張や旅行で来る人など、年齢としては10代の学生から90代まで、老若男女さまざまな患者が来院します。

営業時間は13時から21時。21時から90分指圧の診療も受け付けています。90分指圧を中心に、患者の都合と体調に合わせて、60分から30分区切りで120分まで対応しています。また、高齢者やリハビリ患者を対象とした30分のコースも用意しています。施術では浪越指圧をベースとした全身指圧が基本です。そのほか、必要に応じて日常におけるケアやストレッチの方法なども伝えています。

昨今、働き方や生活の変化から、施術を受ける患者の考え方や意識も多様化が見受けられます。好転反応が出るまで施術を受けて可能な限り改善したいという人もいれば、施術後にも仕事があり支障が出ないよう、負担の少ない施術を求める人もいます。ただ愁訴を改善することだけに集中するのではなく、患者がそれぞれ持っている健康目標を聞き、今回の施術でその目標が達成できるのか、それが難しいならばどこまでができるのか。バイオリズムや仕事の事情などで変わる患者一人ひとりの日常に合わせて、目標達成のために必要な施術やその期間、継続施術の意義などを患者に納得してもらえるように、インフォームドコンセントにも努めています。

【指圧とストレッチによる施術】

姿勢からくる諸症状は、「今までの人生における身体の癖=習慣」です。姿勢の改善は、一朝一夕では成し遂げられません。患者の悪い習慣を少しずつ取り除き、よりよい習慣を少しずつ積み重ねる。そんな「人生百年の健康」を手伝うことが、指圧師の本道だと考えます。そのためにも、患者自身に、自分の健康について意識してもらうことが大切です。


施術の様子をYouTubeに公開しています。

(1)腓腹筋の緊張、足の浮指、猫背

当院では「座りすぎ」に関連した症状として、①腓腹筋の緊張(動かさないことが原因の緊張とこり)、②足の浮指(座りすぎに限らず、姿勢が悪い人に多い)、③顎が前方に出て胸椎が過度に後弯する猫背(長時間のパソコン作業に携わる人にほぼ見られる)、といった3点に注意しています。

身体の不調が一つの原因で起こるケースは稀であり、基本的には複数の要因が重なって今の状態になっていると考えています。また、身体はどこかに不調が生じたとき、その負荷をほかの部位が無意識に分散することで、負荷が1カ所に集中して動けなくなる事態を防ぐようにできています。ですので、当院は「全身施術」が基本で、上記3点はあくまでデスクワーカーに多く見受けられる、代表的な注意点です。

これら諸症状の原因として、主に長時間のパソコン作業やスマートフォンを使用する際、画面を見るために長時間下を向いた姿勢をとっていること。また座位で足を組む癖や、足腰と頭の向きがそろっていない状態を持続することによる重心のぶれ、同じ姿勢を長時間取ることによる血行不良などが考えられます。

施術内容としては、全身の緊張やこりに対する浪越指圧と、また動かさないことによる筋緊張の緩和や血行改善にストレッチを組み合わせています。腓腹筋の緊張には、浪越圧点への指圧と、足関節と股関節の伸展ストレッチを行います。足の浮指には、青竹を使って正しく「立つ」という「姿勢の型」を患者の身体に覚えてもらいます。そして猫背には、側臥位にて腰椎と頚椎の前弯、重心を意識した指圧を行っています。
(2)施術前の姿勢検査

施術に入る前に患者の座位姿勢を撮影し、日常の姿勢を客観的に確認してもらいます。施術後にも同様に写真を撮ることで、患者が改善を実感しやすくなります。

浮指の人は、座位で足底部が床についている状態にもかかわらず、足指と床の間に隙間ができており、重度になると施術者の指が下に入るほどになります。この場合、重心が後方にあるためバランスを崩しやすく、転倒のリスクも高まります。デスクワークをしているときに足がどんな状態にあるのか。足関節が内反し、足底部の外側が地面についている人や、踵が床から浮き、つま先だけが地面についた状態の人は、浮指の可能性が高いです。今回の患者は猫背と左足薬指の浮指のほか、上肢がやや右に外旋していました。

まず患者には青竹の上に立ってもらいます。そのとき、踵を青竹に乗せて、つま先を地面にしっかり着けます。そうすると足腰が安定し、殿部に自然と力が入り、肩や顔が正面を向いて胸も広がるので、「正しい姿勢」の状態をつくることができます。このときに足指が地面をしっかりつかんでいる感覚を患者に意識してもらいましょう。この正しく「立つ」姿勢の型を身体に覚えてもらうことが重要です。

続いて、青竹から下りてもらい、胸の開きにくさや猫背になることで足指が浮いていることなどを確認し、足腰の安定が上肢の正しい姿勢に影響することを患者自身に体感してもらいます。立位が不安定になる患者には、近くの柱などにつかまってもらうなどして、転倒のリスクを軽減し、安全面に配慮します。

浮指や姿勢について確認したのち、事前に問診で聞いておいた既往歴や愁訴も考慮し、施術方針を決めていきます。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2019年3月号」でお読みください。
本誌では写真を掲載し、詳しく解説しています。

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