やわらかな澤田流
――治ろうとする力を伸ばすお灸

第6回:壮数の決め方

 本当にお灸を臨床で据えてみようとする人は、何壮据えればいいのだろうという疑問に必ずたどり着きます。

 澤田流では7壮が基本とされていますが、これはあくまで目安です。
 丁寧に経穴の変化をみていくと、圧し消しでも3壮で変化する経穴もあれば10壮据えても変化が出にくい経穴もあります。
 ですから、実際には経穴の変化を確かめながら、据えていけばいいのです。

 最初は変化が出たのかどうか分からない、という不安がつきまといますが、そこは、基本の壮数を参考にさせていただき、分かる範囲の変化を探るようにしていけば、患者さんごと、経穴ごとの壮数が大体定まってきます。

 「お灸は熱い」「お灸は火傷する」というイメージを持っている患者さんが多いのは事実です。

 ただ、柔らかく捻ったお灸を、術者の皮膚に乗せ、七分位で圧し消すのを見てもらうと、ほとんどの患者さんは全く怖がりません。

 据えていくうちに閾値も上がるので、徐々に熱いお灸でも気持ちいいといってくれる患者さんがたくさんいます。
 そういう意味では、据え方次第で、お灸の未来は、温かく明るいものになると信じています。

 お灸ブームとかではなく、地道に、患者さんの健康に寄与することができる技が、何千年もの間に少しずつ形を変えながら伝承されてきました。

 今を生きる鍼灸師が、それをどのように受け継いでいくか、同じ今を生きる患者さんのことを考え、それぞれに工夫をしていくことができればと思います。
【おわりに】

 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 澤田流の魅力を損なってしまわないよう、注意して書いたつもりですが、浅学のため至らない点は多々あったと思います、お許しください。

 少しでも興味を持ってもらえたところがあれば、あとは『鍼灸真髄』を、患者さんの身体を通して読み込んでいってください。
 きっとお灸を据えることがどんどん楽しくなると思います。

 僕は、『鍼灸真髄』を読み込むなかで、いろいろなことに気づいた、ということになっていますが、もちろん自分一人の考えではありません。

 恩師の上田静生先生の教えはもちろんですが、現在所属している一元流鍼灸術では10年にわたり、伴尚志先生に経穴の触れ方、熱の入れ方、気一元の観点など治療の根幹にかかわることをご指導いただいています。

 お灸については、上牧灸の杉田由範先生から、身体の部位ごとに捻る硬さを分けることや、壮数についてなど、多くのアドバイスをいただきました。
 また、大阪行岡医療専門学校長柄校の教務の先生方には、貴重な書籍を読ませていただいたり、お灸にかかわる機会をたくさん与えていただいています。

 皆様に、この場をお借りして、深くお礼を申し上げます。


代田文誌『沢田流聞書 鍼灸真髄』(医道の日本社) https://www.idononippon.com/book/shinkyu/1013-6.html


木村辰典(きむら・たつのり)

1976年生まれ。曾祖母が産婆と灸治療、母親と姉が鍼灸治療をしていた影響で鍼灸の世界に入る。2002年に大阪行岡医療専門学校鍼灸科に入学。2002年より母親の同級生である上田静生先生に師事。初対面のときに「鍼灸真髄を暗記するまで読みなさい」と言われ澤田流と出会う。2005年、大阪行岡医療専門学校鍼灸科卒業。あん摩マッサージ指圧師免許取得。その後、澤田流の基礎古典である『十四経発揮』の教えを受けつつ臨床にあたる。2010年より一元流鍼灸術ゼミにて伴尚志先生に師事。2012年より澤田流や灸術を学ぶための「お灸塾」を開講。
2007年4月より大阪行岡医療専門学校に勤務。現在は非常勤講師。2011年10月より同校の「お灸同好会」で指導。2009年より大阪ハイテクノロジー専門学校非常勤講師。2005年より母親が営む木村鍼灸院に勤務。2016年、自身の木村鍼灸院を開業。

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