閃めく経絡(ひらめくけいらく) 現代医学のミステリーに鍼灸の“サイエンス"が挑む!

閃めく経絡(ひらめくけいらく)

「鍼灸はなぜ効くのか?」閃く経絡

発生学と筋膜の理論から明らかに!

東洋医学で全身に分布されていると考えられている十二経絡。経絡上の経穴(ツボ)に鍼や灸、マッサージ、指圧を加えることで、全身に影響を与えることを治療家ならば誰もが経験していることだろう。だが、その存在は明らかにされていない。


そんな目に見えない経絡や経穴について、発生学の最新知識から読み解いたのが、本書である。「気」とは何か。なぜ経絡がこのような配置なのか。これらの答えは人体がどのように発生し、どのように作用しているのかを深く理解することで明らかになる。

 

また、本書が導く知られざる鍼灸の「サイエンス」は、現代医学では未解明の部分を解き明かす。身体を巡るミステリーの鍵は「ファッシア」(筋膜・膜)にあった。
鍼灸師で救急診療専門医の著者による、医学の常識を覆す英国の話題作がついに上陸!

●鍼灸治療の新しい治効メカニズムを徹底解明
●現代医学の進歩で分かった、黄帝内経『素問』『霊枢』の真意
●経絡の配置の意味とは?「三焦」「心包」の正体は?
●「気」の存在を否定することは、生命自体を否定すること
●「ファッシア」(筋膜・膜)が、西洋医学と東洋医学をつなぐ

ISBN:978-4-7529-1036-7
著者ダニエル・キーオン
監訳須田万勢・津田篤太郎
建部陽嗣
仕様四六判 400頁
発行年月2018/6/16
1036-7
定価 本体2,800 円+税
ご購入はこちら(Ido Net Shoppingへ)

目次

プロローグ なぜ人体は再生しないのか?

 

PartI 鍼のサイエンスー神が医者に話し忘れたこと

発生の創世記

単細胞の世界

有名にして無形

三重らせん

生命のスパーク

氣とは何か?

クローン羊と氣

完璧な工場

臓腑の氣

どのように氣が身体を折りたたむのか

トリッキー・ディッキーと小さな刺し傷

ヒトのフラクタル

レオナルドたちと完璧な人間

超高速の進化

ソニック・ヘッジホッグのパンチ

ツボ(経穴)とは何か?

氣の流れ

 

PartII 中医学の発生学

陰陽に関する簡単な紹介

道(タオ)

羊膜外胚葉

身体の卵黄

発生学のサーファー

 

PartIII 命門と6本の経絡

三陰経

・少陰経

・太陰経

・厥陰経

三陽経

・太陽経

・陽明経

・少陽経

 

エピローグ

付録

監訳者あとがき

参考文献

索引

 


 

●著者プロフィール

ダニエル・キーオン(Daniel.Keown)

1998年にマンチェスター大学医学部を卒業した後、救急医療を専門とする医師として活躍するかたわら、2008年にキングストン大学統合医療カレッジで中医学を学び、中医学と鍼治療の学位を取得。2010年には北京の経絡医学研究センターで王居易医師に師事した。2014年にthe membership exams of the College of Emergency Medicine(MCEM)を取得。長年の目的は西洋医学の最前線で鍼灸と氣を再確立することであり、その経緯で本書が生まれた。

 

●監訳者プロフィール

須田万勢(すだ・ませい)

1983年神奈川県生まれ。2009年 東京大学医学部卒。諏訪中央病院での研修を経て、2014年より聖路加国際病院リウマチ膠原病センター勤務。家庭医療専門医、日本リウマチ学会会員、アメリカリウマチ学会(ACR)会員、日本リウマチ財団認定医、日本内科学会認定医、日本骨粗鬆症学会認定医、免疫療法認定医、日本東洋医学会会員。西洋医学と東洋医学の両面から人体の神秘を解明し、治療に生かすことをライフワークとしている。

 

津田篤太郎(つだ・とくたろう)

1976年京都生まれ。京都大学医学部卒業。医学博士。聖路加国際病院リウマチ膠原病センター副医長、日本医科大学・福島医科大学非常勤講師、北里大学東洋医学総合研究所客員研究員。日本リウマチ学会指導医、日本東洋医学会漢方専門医・指導医。NHKの人気番組「総合診療医ドクターG」の医事指導を担当。著書に『未来の漢方』(共著)、『病名がつかない「からだの不調」とどうつき合うか』『漢方水先案内』がある。

 

●翻訳者プロフィール

建部陽嗣(たてべ・はるつぐ)

1978年、静岡県浜松市生まれ。はり師・きゅう師。明治鍼灸大学(現:明治国際医療大学)卒業、京都府立医科大学大学院医学研究科修了。医学博士、鍼灸学修士。京都府立医科大学特任助教、宝塚医療大学、大阪医療技術学園専門学校、大阪府柔道整復師会専門学校非常勤講師。神経変性疾患のバイオマーカー研究をおこなうと共に、附属病院での鍼外来・鍼灸教員としても活動している。月刊「医道の日本」にて、鍼灸に関する海外論文を紹介する『鍼灸ワールドコラム』連載中。

 


 

●推薦のことば

ジョン・ハミー[鍼灸師]

“Acupuncture for New Practitioners” (『若手医師のための鍼治療』)著者

今まで、伝統的な中国医学で用いられている詩的で格調高い言葉に対して、現代の科学的な西洋医学と共通する物差しをあてがうことはできないと思われてきた。しかし今、キーオン医師は、東洋・西洋両方の医学が人体で起こる現象を同じように描き出していることを、明確に、説得力をもって示してみせた。何らかの融合が生まれることになるだろう。この意味は計り知れない。

 

ノーラ・フラングレン

[School of Five Element Acupuncture(SOFEA)(五行鍼法学校)創設者]

The Handbook of Five Element Practice”( 『五行論ハンドブック』)“, Keepers of the Soul” (『魂のキーパー』),“Patterns of Practice” (『診療パターン』),“The Simple Guide to Five Element Acupuncture” (『五行鍼法シンプルガイド』)著者

驚くべきことに、長い間、鍼灸治療と西洋医学との関係についてほとんど吟味されてこなかった。キーオン医師の思慮深い刺激的な本書により、今、ついに、我々はこのギャップを埋めることができる。キーオン医師は、東洋と西洋に分断された医学の両サイドで仕事をした経験から話している。本書は、両分野(東洋・西洋医学)の専門家が、多少異なる用語を用いていても、どの程度共通した言語で話しているのかを知ることができる点で大変貴重である。

 

ピーター・モール

[College of Integrated Chinese Medicine(統合中医学カレッジ)学長]

“Acupuncture for Body, Mind andSpirit”(『体、精神、魂のための鍼治療』)著者

医師としては珍しく、ダニエル・キーオン氏は鍼灸治療や中国医学の理論と実践について熟知している。解剖学、生理学に対する彼の愛情と理解の深さゆえに、彼は現代科学の概念に沿って鍼灸治療がどのように「効く」のか説明しうる、ほとんど唯一無二の人物である、といえる。本書は、中国医学と西洋医学とのギャップを埋めようとする人にとって、重要かつ必要不可欠な書である。

 

アンジェラ・ヒックス

[College of Integrated Chinese Medicine (統合中医学カレッジ)共同学長]

“The Principles of ChineseMedicine” (『中医学の本質』)著者

私が本書を読み始めて、思い浮かんだ言葉は『すごい!』 。それから私はこの本を読みふけった。キーオン博士は、西洋医学の医師であり鍼灸師でもある。彼はその魅力あふれる文章で、系統的な理論に基づく最新の科学と伝統医学の世界観とをいかにして融合させるかを教えてくれる。一般大衆から西洋医学の医師や東洋医学の専門家に至るまで―人体がどのように機能し発達してきたか、その驚くべき仕組みを知りたいと思う人は誰でも―この本を読むべきである。

 


 

●序文

世界で最も尊敬された鍼灸師の一人、王居易医師の下、私が中国で学んでいた頃、本書の「胚」となるアイデアを私は初めて思いついた。王居易医師は、鍼灸の神秘性について深く考えることに70 年もの人生の大半を費やした根気強い人であり、研究に関して言葉を選ぶたちであった。非常に美しく、聡明な助手のメイが彼の言葉を翻訳してくれたことで、ようやく理解の入り口に立つことができた。そのときの私ときたら、時には理解してうなずくこともあったが、間抜け面であいまいに首を縦に振るばかりであったこともしばしばだった。

 

王医師は、鍼灸が作用する場所は身体の中の空間であるととらえていた。そして、彼がそのことについて話したとき、私は彼の鍼灸に対する深い造詣が発生学と共通している点が多数あることに気がついた。私は興奮した。なぜなら、ようやく彼に尋ねるべき興味深い話題がみつかったからである。彼はこのこと、すなわち発生学と中医学の経絡の連関に気づいているだろうか? 王医師はしばらく考え、きらきらとした輝く目で私を見つめた。そして独特のゆっくりと穏やかなリズムで話し始めた。

 

「いいえ……しかし、あなたはこのことを世に伝えるべきです。本を書きなさい」

 

それが、本書である。神秘的な身体がどのように形作られるかといった興味を持ってさえいれば、どんな人でもこの本を楽しむことができる。この本は発生学の最新知識と、古くからある伝統医学の両方をつなぎ合わせるものとなっている。この本が何らかの形で、あなたが持つ身体に関する知識をより深いものにし、世界で最も完成した伝統医学の理解へとつながることを願っている。

 


 

●プロローグ

なぜ人体は再生しないのか?

Why Can't Humans Regenerate?

 

3歳の頃、私は折りたたみ椅子で親指を切断した。出血し、痛みに泣き喚いたはずだが、何も覚えていない。しかし、母はその当時のことを鮮明に覚えている。母は切断された私の親指を氷で冷やし、布で包んだ。そして、急いで私を救急病院に連れて行き、外科医は切断された私の指を縫い合わせた。現在でも、私の親指には爪と並行して走る傷跡が残っている。

 

母が知らなかったこと、そしてほとんどの医師がいまだに知らないことがある。おそらく私の親指は縫い合わせなくても完全に生え変わり、元の状態に戻っただろう、ということだ。両生類のしっぽや足が生え変わるように、実はヒトの指も再生する。指の骨、爪、神経、血管、すべて一切合切だ。そのために必要な条件は、ほどよい清潔さ、非粘着性の被覆材、泣きじゃくる私をあやすキャンディーと、3歳児の神経、それだけあれば十分である。

 

人は再生することができる、しかし、指の末端だけ、そしてまた強い氣(後ほど説明する)を保っている子供だけだ。1970年代には既に、小児科医であるシェフィールドが、この現象に関する論文を小児外科の専門誌に報告している。彼女の実験結果は明瞭である。6歳以下の子供では、一番端の関節より先端で切断しても、指は傷跡や変形を伴うことなく完全に再生する!

 

驚くべきことに、この事実は医学界でもあまり知られていない。私は過去に救急部で10年働いたことがあるが、患者の治療に直結するはずなのに、この事実を認識している同僚には一度しか出会ったことがない。なぜかは明らかである。我々が医学について知っていると思っていることの根幹を揺るがすことになるからだ。もし、人間の指が再生できるのならば、どのようにして再生するのであろうか、そして、他に何が再生できるのだろうか? 医科大学は新たな部門を開設する必要があるだろう。

 

人間の再生に関する研究はあまりにも少なすぎる。治療原理の中心をなしているにもかかわらず、私がこの分野の本を目にしたのは、たったの1冊しかない。アメリカの整形外科医ロバート・ベッカーは、サンショウウオの再生能力の研究に数十年を費やした。彼の関心は、骨折時の骨癒合不全にあった。骨癒合不全は、文字通り骨の折れる課題であり、どうして癒合不全に陥るのか、原因がはっきりしていない。彼の研究は、「骨癒合不全」の電気治療につながり、医療機器として認可されているが、彼が研究で見出した様々な成果そのものにこそ、本当に目を見張るべきものがあった。

 

ベッカーは再生能力を持つ多くの原始的動物の中から、四肢の再生能力を見るためにサンショウウオを選んだ。サンショウウオは四肢が切断されても、新しく肢が生えてくるので、決して骨折後の骨癒合不全で苦しむことはない。サンショウウオは4プロローグ両生類に属するが、肢は我々人間のものと機能的にとてもよく似ている。骨、関節、神経、血管、筋肉、腱、靭帯、これらすべての器官が認められる。つまり、我々の足にあるすべてのものが存在するのだ。ただ、少し小さくて、緑色の皮膚に覆われているというだけだ。

 

肢を切断されたサンショウウオは、その末端にずんぐりした血の塊を作る、そして、その後数週間の経過で、ぴかぴかの新しい緑の肢を発達させる。これぞ両生類マジック!

 

ベッカーはこの力に魅了された。研究を重ねていくうち、サンショウウオの肢を切断するときに損傷部位で生じる電流を測定し始めた。肢がつながっているときサンショウウオの頭から指に向かってわずかな電気勾配があること、また、この電流がほぼ測定不能なほど小さいことを彼は既に知っていた。それはマイクロアンペアというごくわずかなレベルであったが、いつも一定で流れており、頭側では常に陰性荷電に傾いていた。彼が発見したのは、肢の切断後、切断部での電気の極性が反転すること、そして、この反転こそが肢の再生を引き起こすことであった。

 

ほとんどの医学生は、動物が電気を発生させることについて不思議なことだと思わない。神経は常に電気を作ることができ、大きな電気ショックを発生させる動物すら存在する。ただ、再生に関わる電流が普通と違うところは、直流(DC)電流であるということだ。神経電流は交流(AC)であり、電線に流れる電気のように波がある。しかし、ベッカーが測定した電流は、電池から出るような一定したものであった。

 

これらの動物実験の際に、危害を加えられた動物はいないと言えたらなんと素晴らしいことだろう。しかし、それは明らかに嘘になる……。だが、信じられないことに、実験終了時には、傷つけられたように見える動物はいなくなっていた! 再生というのは本当に奇跡的な出来事なのだ。

 

ベッカーの発見により、この電流の反転によってサンショウウオの傷口で赤血球の変化が起きることがわかった。赤血球は脱分化を起こすのだ(分化とは、幹細胞が筋肉のような機能特化した細胞へと変わるプロセスのことである)。言い換えるならば、赤血球の発生学的時計を巻き戻したといえる。また、初期状態の幹細胞になるまでDNAのロックを外したともいえる。その後、サンショウウオは傷跡から骨、神経、筋など、必要なものすべてを分化させながら、肢を作り直し始める。数週間で再生は完了し、サンショウウオは再び4本足へと戻る。食物をしっかりと食べている限り、サンショウウオは再生を何度でも繰り返すことができる。

 

医学生なら今の説明に重大な誤りがあることに気づくだろう。赤血球にはDNAが存在しない、それどころか、赤血球には核もない。このことは正しい。ヒトの赤血球には核がない。しかし、原始的な動物の赤血球には核がある。そして、そこには全遺伝情報が存在している。大部分は赤血球として機能するためにオフの状態になっているが、すべての遺伝情報は残っている。もちろん、情報が正しく扱われれば、身体のどの細胞にもなることができる。クローン羊ドリーに用いられたのがこの方法であり、人間より原始的な動物が肢を再生できる理由の1つとなっている。つまり、我々より強力な血液を持っているのだ。

 

ベッカーはさらに踏み込んだ。彼は、サンショウウオや他の動物を電気刺激でいじり、余分に肢や頭を持つ動物を作った。微細な電極を用い、損傷した肢の電気の極性を再び反転させることで、再生をストップさせることにも成功した。その後、さらに大きな電流を傷口に与えたとき、ラットのようなより高等な動物でも肢を再生できることを示した。また、ラットが高齢だったり、損傷が重度であったりすると、この再生力が弱まることにも気づいた。動物が高等になればなるほど、強い直流(DC)再生電流を発生させる能力が減り、核を有する赤血球の数が減少してしまうので、再生する力が減少していくこともわかった。

 

最終的に彼は、大きな脳を作るためにより多くのエネルギーを使った種ほど、再生能力が少なくなるとの結論に達した。身体のサイズあたりの脳の大きさがどんな大きな動物よりも大きい我々人間には、再生能力がごくわずかしか残っていないのである。

 

再生は日常で起こっている。しかし、ヒトは例外であり、簡単に四肢を再生できない。再生はまさしく発生学であり、それぞれで関連するプロセスは同じである。同じDNAが、同じ経路、同じ情報伝達システムを使用する。傷や骨折を治すとき、再生が起きている。そしてミクロレベルで見れば、我々の身体では常時、来る日も来る日も何百万回という再生が起こっている。腸の細胞は常に再生して新しい腸上皮を作っている。骨髄では血液と免疫系が常に再生している。内臓は細胞がすり減るにつれて、修復と置換を暇なく繰り返している。

 

再生できない組織も存在する。最も再生が難しいとされる臓器が、脳と脊髄である。この部位を損傷すると、再生する見込みのない脳卒中や麻痺を生じさせる。これらの細胞は機能特化が進みすぎていて、発生学の時計を巻き戻すことができない。

 

さきほども述べたが、ベッカーが傷ついた肢で示した電気は、通常の神経インパルスとは違う。通常の神経の電気は上下する交流(AC)電流だが、再生電流は一定の直流(DC)電流である。ベッカーにはそれがどこからやってくるかがわからなかったが、ベッカーを訪れた軍医が、それは鍼灸治療の作用メカニズムと同じではないか、と考えた。これこそが、中国人が氣と呼んでいるものなのではないのか、と。

ページサンプル

 

 

1036_7_sample_1.jpg

 

1036_7_sample_2.jpg

 

 

 

テキスト採用をご検討の学校様へ

正誤表

取扱書店一覧

iPhoneアプリ 東洋医学診断チャート

ディスプレイルーム

〒108-0075
東京都港区港南2-4-3 三和港南ビル5F
TEL 03-5461-3050
営業時間 AM10:00~PM6:00

ボディナビゲーションシリーズ